上演にあたって―――
日々荒野。
作品「日々荒野」は東池袋中央公園で制作した。
この公園は路上生活者への炊き出しも開催される場所で、ソケリッサ!ではメンバー勧誘を含んだパフォーマンスとして何度か踊った事のある空間。初めて来た時は夏だった。サンシャインやプリンスホテルなど接にそびえ立つ建物に囲まれた公園の奥は、木が鬱蒼と生い茂り都会の谷底のようであった。そしてその空間に膝を抱え休む路上生活の人々の姿は、母なる子宮の安堵の中にいるようにも見えた。
そして公園には石ころが転がっていた。
石ころは僕の生まれる遥か昔から存在し、様々な景色を眺めてきた。
そこに転がる石ころは全てを知っている。そして僕達はその石ころを蹴っ飛ばす。
その公園の中で石ころを眺めていると、美しく煌びやかで価値のあるものと信じたその景色をふと無意味だと思わせる。
きっとこの目の前に広がるのは日々荒野だ。
アオキ裕キ